風のおとしもの。




「………ほら出来た。見なよ、私の美しい字を」


佳代が誇らしげに指差してきた。


「って、何描いてんだよあんた!ぅわ、ぶさっ、あはははっ!」

「…元が悪いから仕方ねぇだろ」


ちくしょう、描くんじゃなかった……。
まぁ字はやっぱ上手くなってるよな。
佳代の丸っこい字より綺麗に書けて満足した。


「………やっぱりこっちは上達してるね。私よりずっと上手だ」

「まぁな」


ふんと鼻を鳴らす。
……やけにしおらしいな。
不気味だ。


「何が聞きたい?」


石を弄ぶ佳代は、視線を落として続ける。


「答えてあげるよ、何でも」

「……何が?」

「え…?」

「ん?」