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「どこ行くのさ」

「いいからついて来い」


諦めたのか、腕を離しても逃げようとはしない。
俺は教室で騒いでいた高見佳代の拉致に成功した。

こいつが諸悪の根源なのか、小鳥遊がそうなのか、はっきりさせる必要がある。
そうしないと俺の方の話が進まない。


「……っし、着いたぞ」

「ここって……」

「懐かしいだろ?」


高見とは昔よく遊んだ。
特にここはお気に入りで、夏になるとよく来た。

高架下の砂場。
オマケみたいに滑り台があり、あとは草むらだけ。
辛気臭い場所だから誰も寄り付かなくて、逆にそれを気に入っていた。


「相変わらず辛気臭ぇな」

「………で、話って何?」


居心地悪そうにする高見は、入り口近くから動こうとしない。
俺は気にせず滑り台へ向かった。