風のおとしもの。




「なんで謝るわけ?」

「ごめんなさ……っ…」

「っとにやりにくいヤツだよなぁ、お前」



胸に何かが突き刺さる。

私はこれまで何度もそういう言葉を聞いて、時には聞き流し、時には傷ついてきた。
何で村井君に言われるのがこんなに傷つくのかわからないけど、きっと心のどこかで変な仲間意識があったんだと思う。


私は、私のせいで傷ついたお母さんの看病をするために留年していた。
お母さんの両親が看ると申し出てくれたけど、これは私がしなきゃいけないことだと断った。
二年生の終わりにはもう学校に行かなくなり、病室でお母さんに付っきりだった。
罪滅ぼしをするために約一年間、日に日に衰弱していくお母さんの側に居続けた。



そして今年の春から、また学校に通いだした。
その時このクラスで村井君に出会い、それから今まで、同じ「はみ出し者」として勝手に仲間意識を持っていたんだ。
全然、同じなんかじゃないのに。