「俺は、お前に救われた。お前に助けられて、母さんを最期まで大切に出来た」
私は村井君から目が離せなかった。
話していることはよくわからなかったけど、こんな村井君……見たことない。
前に話した時、いっぱい、村井君の表情が見れた。
でもこんな顔は知らない。
なんで?
私が苦しめてるの?
「……あの時お前が来てくれなかったら、俺は一生後悔したと思う。お前が居てくれなかったら、俺はっ……挫けてたかもしれない!」
徐々に声を荒げる村井君は、興奮して壁を殴る。
ばんっと乱暴な音がして一瞬体が強張る。
びっくりして縮こまった。
小さく声が漏れたかもしれない。
いつもなら怖くてどうしようもなかったと思う。
でも、今は違う。
恐る恐る顔を上げる。
「だから、俺はっ……俺は!!」
「―――村井君!!!」