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「……ふぅん。じゃあ――――」


初めはちょっとした好奇心。
普段高見と一緒に色々とやらかしてくれるから、仕返しも含んで。


「こうしたら、どうなっちゃうわけ………?」


ちらっと窺えば、小鳥遊は耳まで赤くなっているのがわかる。
日頃俺を馬鹿にしている罰だ。
ふっと体を離すと、焦点の定まっていない小鳥遊の目と、真っ赤に染まった顔があった。


―――っ!
やばい。
こいつの容姿忘れてた。
こんな近くで顔突き合わせたら、俺の方が不利に決まってる。
顔色を悟られたくなくて一気に距離を取り、声を上げて笑いマネする。


「…………っ、おんもしれぇ顔」

「はっ」


それで我に返った小鳥遊は、頬を押さえて俯く。

……焦った。
ダメだ、ホント。
こいつにはペース乱されてばっかで………。



ただ、俺は無神経が過ぎるというか…。
また小鳥遊を傷付けたみたいだ。
涙を必死に堪えるあいつの姿が、頭から離れない。


「……馬鹿だよなぁ、ホント…」


追いかける度胸もない。
拒絶されるのが怖かったのか?

……柄じゃねぇだろ。
大の字になってねころんだコンクリートの上は、湿気を含んだ匂いがした。