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「今日はぁ、美紀の為に集まって頂いてぇ、ありがとうございますっ!」

「いいから、さっさとやるぞー」

「はぁい☆」


あれから、佳代さんはあまり変わらない。

………ように、振る舞っている。
ただ明らかに、前の佳代さんではなかった。


「これをこーするだろ?そんで……」

「うんうんっ」

「ふむ………」

「や、里香は教える側だろ?何納得してるわけ」

「………私が教えられることなんて、数学では限られ過ぎてる」

「…………まぁいいか」


今日も里香さんが誘ってくれなかったら、私はここにいなかったかもしれない。


「……雛、どうした?」

「ぇっ………」


ぼんやりしていて、話を聞いていなかった。
里香さんの気遣わしげな声に、慌てて返事する。