「いいんです」
「………ぇっ」
「だから、もういいです」
私もどう言おうか明確に考えて来たわけじゃないし、いい言葉が浮かばない。
ただ、うまく伝わってくれるといいな。
「私、前に村井君を怒らせてしまったことがありました。あの時はどう謝ればいいかすごく考えて……でも村井君は許してくれました。私はとても嬉しかったです」
「………」
「居眠りしてたのを起こしてくれた時も、お弁当箱を届けてくれた時も、村井君には感謝ばかりです」
村井君は耳を傾けてくれているみたいで、だからゆっくり、しっかり伝わるように頑張る。
「そんな方に、必死に謝罪されて、私だけ許さないのなんて意地悪というか……その、私はああいうことに免疫がなくて少し過剰に反応してしまいました。……あと、村井君も知ってると思いますが、私お友達とうまくいってなくて、それでむしゃくしゃしていたこともありました。きっと八つ当たりも入っていました、それは本当にすいませんでした」
正直に話して、頭を下げた。
「俺……。……悪ふざけが過ぎたよ。本当に悪かったと思ってる」
村井君も頭を下げて、ゆっくり戻る。
改めて向かい合うと、微妙な距離感が可笑しい。
どちらともなく表情が緩み、小さく声が漏れた。
