風のおとしもの。








   ***



「………よぉ」



昇降口をくぐると、村井君は遠慮がちに挨拶した。
実は夏期講習が終わってから、屋上で村井君と待ち合わせしていたのだ。
村井君は講習には出ていなかったみたい。
選択式ではあるけど、村井君はちゃんと必要最低数の出席をするんだろうか。

まぁ、欠席の方が佳代さんにうたぐられることがなくていいんですが………本当に不良な人です。


「こんにちは」


小走りに駆け寄り、距離を置いて止まる。
たくさん思い出しちゃって、あまり近づきたくない。
呼び出しておいて失礼だったかなとは思う。
でも村井君は気にする様子もなく、言葉を探していた。


「あのさ、俺……その、誤解を解きたいんだけど………。いや、違うな……」


こんな風に歯切れが悪く、困惑した村井君は見たことがない。
やっぱり、あれはホントに冗談だったんだ。


………冗談でもあんなことされるのは不愉快ですけど。