「………なんでもねぇよ…っ!」
「村井、待ちなさい!」
搾り出すようにそれだけ告げ、村井君は荒々しくドアを閉めて出ていった。
「雛、大丈夫だった?」
「あの、はい……」
「村井のやつ………まさかあそこまで腐ってるとは思わなかったよ」
吐き捨てるように言う佳代さんの横顔は以前よりも陰りを帯びていて、怒っているのにどこか悲しそうで………。
村井君のことも心配なんだ。
幼なじみだって言ってたし、やっぱり佳代さんにとって村井君は大切な人なんだ。
ずっと前に帰り道で話した時、村井君のことを話す佳代さんは嬉しそうで、寂しそうだった。
「不安なら、学校にいる間はずっと傍にいるから。ね?」
眉根を寄せた私を見て、また佳代さんは笑う。
違うの。
佳代さんにそんな顔させたいんじゃない。
だからそんな風に笑わないで…。
