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「………おい、小鳥遊」
翌日、後ろから村井君に声を掛けられた。
でも振り向く気にはならず、前を向いたまま答える。
「……何か用ですか?」
「昨日はホントに悪かった。冗談が過ぎた」
「………村井君は、冗談であんなことするんですか?」
「だから、悪かった」
「私は、とても傷つきました。あんなことする為に呼ばれたんだって思ったら、辛くて、苦しくて、悔しくて―――」
「この通りだ」
村井君は私の机の前まできて頭を下げる。
座っている私と頭がくっつきそうなくらい、深く。
びっくりして思わず立ち上がると、すでにクラス中から注目されていた。
「あっ、あの、村井君!困ります、こんな―――」
「俺も困るんだ。こんなことでお前に何かしてやれなくなるなんて、嫌なんだ」
「あの、村井君、顔を上げて下さい!」
「お前が許してくれるまで上げない」
「そんな………」
それから何を言っても、村井君は頭を上げてくれない。
どうすればいいの……?
どうにか頭を上げて欲しくて、村井君の肩に手をのせる。
すると、やっと頭を上げてくれた。
ほっとしたのもつかの間で、両腕を掴まれてしまった。
…にっ、逃げられない……。
「小鳥遊、頼む。俺―――!」
