「むらいくん………。私を馬鹿にするためにここへ呼んだんですか…?」
「いや、違うけどさ、あっはは………!」
「………いいです、もう」
村井君は私をからかいたくて呼んだんだ。
あんな嘘までついて楽しいんでしょうか?
もしかしたら保健室で話を聞いて、私が動揺するのが見たかったのかもしれない。
一度村井君に笑われた時のことを思い出した。
ドキドキがズキズキと痛みに変わっていく。
泣かない。
こんな人に傷つけられるような弱い自分じゃない。
暗示をかける。
村井君を横目に、昇降口へ向かった。
「待てよ」
ふいに手を捕まれ、体が引かれた。
振り払おうにも、村井君に力で勝てるわけがない。
「やっ、離して―――」
「悪かった」
右手を捕まれたまま左肩を引かれて、村井君と向かい合うような姿勢になった。
さっき身を乗り出してきた時のような、必死そうな顔。
また騙されそうになる。
同じように笑いの種にされるんだ、怯んじゃダメ。
