風のおとしもの。





「………途中まで寝てたから、出るに出られなくなった。悪かったと思ってる」

「………あの、あの時のことは、誰にも……―――」

「あぁ、言わない」


フェンスを背に、コンクリートにへたり込んだ。
安心すると力抜けちゃう……。


「ただ、それとこれとは別だ。俺はお前に、恩を返したい」

「おん………?」

「あぁ」


恩?
私、村井君に感謝することはあっても恩返ししてもらうことなんてないよね?
不思議に思って村井君を見上げると、じっと私を見ていた。


「ぁっ、えっと………」


なんだろう。
怖くないのに、ドキっとした。
思わず視線をそらすと、距離を置いて村井君もコンクリートの床に座り込んだ。