「そういえば、昨日は悪かったね」
「?」
何のことだろう?
席に着くと、高見さんは机の上に腰を下ろした。
私はゆっくりと椅子に座ると、鞄を下ろす。
「昨日雛乃のこと呼んだの、私なんだ」
「あぁ、そうだったんですか」
昨日のことを思い出して両手を合わせる。
よかった、勘違いじゃなかったんだ。
そう思うと顔が緩んでしまった。
「でもちょっと考えたらわかることでした。私に話しかけてくれる人なんて、高見さんくらいしかいないですもん」
しかも隣の席なのに、私って鈍感ですよねと付け足し、私は教科書を取り出す。
んー……自分で言ったものの、なんて寂しいことなんだろう。
苦く笑っていると、高見さんは机の上で足を組んだ。
