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「昨日は大変だったね。大丈夫だった?」
下駄箱で靴を履きかえていると、高見さんに声をかけられた。
心配してくれているみたいですごく嬉しい。
でも……。
「……はい」
「元気ないみたいだけど―――」
「私、村井君に嫌われてしまったでしょうか」
昨日の放課後、山口先生に呼び出されてあったことを全部話した。
村井君は親切にお弁当箱を届けてくれて、とってもいい人だったこと。
でも山口先生は村井君を疑うような質問ばかり続ける。
そしてよくわからないという顔をしたかと思うと、今度は真顔で、そう言うように言われたのかと訊ねてきた。
はっきり違うと言ったけど、私にも村井君が何故あんなことをしたのかわからない。
その後も要領を得ない私の話に痺れを切らしたのか、先生はわかったと言って私を解放してくれた。
きっと怖い人ではないんだと思う。
それを伝えたかったのにうまく言葉に出来なかった。
昨日は帰ってからもずっと考え込んでいて、今もそう。
そのせいで思わず高見さんの言葉を遮って尋ねてしまった。
気に障ったかと心配したけれど、高見さんは驚いたように答えてくれる。
