風のおとしもの。



「小鳥遊、大丈夫か?なんであんなやつと一緒にいたんだ、恐喝でもされてたのか?」


山口先生が一気にまくし立てたけど、突然の出来事に私は呆然としていた。
息が詰まって、一瞬何が起きたのかわからなかった。
その様子に気付いてくれたのか、山口先生は声を抑える。


「おい、小鳥遊。返事をしなさい」

「……あ、はい。大丈夫です」

「怪我はないか?」

「はい」

「なんでこんなところにいたんだ。村井に何かされたのか?」

「お弁当箱を忘れてきたのを思い出して、取りに来ました」


弁当箱?と山口先生は首を傾げた。
おおまかに出来事を説明する。
先生はよくわからないといった顔をし、とりあえず教室に戻るように促される。
先生は他の先生方に事情を説明するため一度職員室に行くらしく、私は先に教室に戻った。


視線を気にして後ろの方から入ったのに、みんなは振り向いて私を見た。
うぅ、なんか恥ずかしい………。
クラス中の視線を浴びながら席に着くと、ほどなくして戻った山口先生がホームルームを始めた。