「俺ァいつも出てねぇだろ!だからいいんだよ!」
「よくありません!一緒に行きましょうっ」
「だーー!引っ張るな!」
村井君サボるつもりだったんだ!
やっぱり悪い人だっていう噂は本当だったのかな。
「おい、お前ら!そこで何やってる!」
校門の前でもめていると、教室から担任の山口先生が叫んだ。
それに気付いた村井君はめんどくさそうに舌打ちすると、私の胸倉を掴む。
わっ、ちょっと息苦しい……。
「お前のせいで見つかっちまったじゃねぇか」
村井君は低い声で唸り、手を振りかざしてすごんだ。
山口先生はやめろだのなんだの叫び、学校の中が騒がしくなり出した。
他の先生たちも慌ただしく走ってくるのがわかる。
初めは殴られるのかと思って緊張した。
村井君がケンカをする人だって噂も聞いたことがあったから、すごく怖かった。
足が震えたけど、かざした手が下りてくる気配が全くない。
村井君を見ると殺気のない気だるそうな目をしていて、何もする気がないのがわかる。
それがわかると、震えなんてなくなった。
ならなんでこんなことしたんだろう?
そんな疑問でいっぱいになる。
今はよくわからないけど、このままだと村井君が悪者になってしまう。
