倫子の場合

写真を取り終わって啓太が走りよって来た「綺麗にとれてるといいな」「うん」しばらく歩くと木立が見えてきた、「この森で昔は良く遊んだんだ。奥に入って見ようか」森の奥は鬱蒼としており暗くひんやりとした空気だった。まだ昨日の雨のせいで足場が少しぬかるんでいる。しばらくして一軒の小さな家に近づいた「入ってみようか」倫子はなんとなく薄気味悪くてだんだんと無口になった。「もう帰ろうよ。」「いいじゃんもう少し」啓太は明らかに悪のりしているようだった。「帰りたい」「開けるよ」その家の扉はぎしっとした重みとともに開いた。奥に入って行くと薄暗く良く周りが見えなかった「誰もいないみたいだな」「うん」その時不意に啓太は天井を見上げ「ぎゃっ」と言う声と同時にのけぞった「死体・・・・」あきらかに死後一週間はたっていると思われる死体がだらりと力なく天井からぶら下がっていた。