倫子はそろそろと大きな荷物をしょって飛行機の外に出た初夏だというのにとても肌寒くて凍えそうだった。「なんか凄く寒いんだけど?」「うん」「取り敢えずこれを着ておけ」そういって啓太はダウンジャケットを手渡した。バサッと音を立ててジャケットがほうり出された。小さい子がまるでお父さんの服を着て歩いている感じだった。