「俺の中学は確かに結構遠いな。学校自体は優希ん家とさほど変わらない距離だけど。三崎ん家は学校からもっと遠かったらしい。詳しい場所までは知らないが」
「まあ、でもさ、それだったら絶対会えないってわけでもなさそうじゃん」
「うん……」
 俺は今やっと、あの時の「じゃあね」の意味を知った。あれは“また”じゃなくて“さよなら”だったんだ。
 俺には“三崎”の思い出しかなくなった。
 その日はなんだかセミの声が耳障りで、日差しがやけに眩しかった。