なんて言ったのかは覚えていない。



どんな気持ちだったのかも、どんな顔をしていたのかも。



ただ無我夢中だった。
この人を守りたいって夢中だった。




今の状況。
嵐は去ったが、頬とお腹などところどころが凄く痛い。



そして隣には美女が一人。



「渡辺…ごめんなさい」



美女は涙を浮かべている。



「んーん。俺が好きでやったことだよ」



「ごめんなさい…」



「泣かないで泣かないで!俺ね、あいつらに殴られて痛い思いするより、ここを避けて通る方が痛いと思った」



「わたなべ…」



「な!大丈夫だからっ!それより痛いとこは何もない?」



「うん。渡辺のおかげで…」



「よかったああああ!!!」



俺は天川の頭を撫でた。



今だけいいよね。
このくらいならいいよね。