一枚の写真には「俺」しか写っていなくとも、その写真一枚には何人もの人の努力が結集されている。
写真一枚にどれだけの思いが込められているか、こちら側の世界に入ってから、彼らの思いに圧倒されて黙ってしまうぐらいに驚いた。
しかし余計にこの世界に魅力を感じ、この世界で生きようと思わせてくれたのは彼らのおかげでもある。
そんな思いがこめられた仕事一つ一つを俺はどんな悪条件でも一生懸命にこなす。
この仕事は今の俺にしたら、最高の条件だったが、別に大きな仕事な訳じゃない。
だから、スタッフの人も4、5人しかいない。
ここにカメラマンさん一人プラスされるだけだ。
最低限の人数での仕事だが、俺はここで精一杯最高の自分を出そうと思う。
どんな仕事でも常にそう思ってしているが、次にこんな良い仕事が来るかわからない。
指名されたのも初めてで、今まででにないぐらいに高揚している。
小さな仕事を足掛かりにして、俺はもっといろんな人に「梨野國」という存在を知らしめたい。
この仕事はそのための一歩になる。そんな気がする…。