そう俺たちは、『勇人』と『皐月』だ。
高校生になっても、
名前を聞くだけで、
目が合うだけで、
顔を真っ赤にした勇人だ。
傍目から見た勇人ってなんだよ。
ぶっきらぼうで照れ屋なのは傍目なのか…?
白田さんに言われた意味をもんもんと考える。
「勇ちゃん…。」
隣から小さな声が聞こえてきた。
ハッとして、声のした方を向く。
横を見ると、さっき目があった時とは違い、
顔を赤らめて俺を見上げる早英さんがいた。
いや!
違う、
これは『皐月』だ!
『皐月』がそぅっと俺に手を伸ばし、学ランの裾を持つ。
その仕草が可愛いらしくて、つい俺は、
「皐月…。」
と呟いた。
そして、裾を持った手をキュッと手のひらで包み込んだ。
すると、更に顔を赤らめる皐月。
俺も顔に熱を感じながら、包み込んでいた手を持ち替えて、皐月の手と握りあうようにする。
ほんわりと照れながら見つめあう俺たち。
「は~い、ナイスショットありがとう。」
白田さんだった。
座っていたはずなのに、いつの間にか撮っていたようだ。
邪魔しないようにフラッシュはたかずに。
