「渡したのは、高校生になる前の部分がメインだっただろう。」


カメラマンの白田さんはニヤリと笑う。

白田さんは、顎髭を生やし、髪は黒と茶が混じっていて、わざとか自然なのか、毛先がいろんな向きに向いているので、一見ボサボサに見える。

けれど、白田さんにはなぜかそれが似合っていた。

全体的には40代前半ぐらいに見える。


「君達にしてもらうのは、高校生の役だと言ったが、これは言わばオーディションでもある。

普通なら、中学高校という順で撮影した方が、

君達にとってはやりやすいだろうけど、

まぁ作者の意向で高校生の方から撮らしてもらう。」


「オーディションですか…?」


指名されたのに?


「あぁ、まぁ作者が気難しい奴でな。

イメージ通りがいいんだとよ。

最初は君達の年齢にあった高校生を演じてもらって、本当にイメージにあってるかみるって訳だ。」

「だけど、高校生の部分ほとんど読んでないんですけど…。」