急な事に皐月は固まってしまった。
体の大きな勇人に、体の小さな皐月。
勇人の体にすっぽりと包まれていた。
抱き締める力を強くする。
「離れるなよ。
好きなんだ、
皐月…。」
優しく名前を呼ばれ、皐月の目にまた涙が溢れてきて、隠すためにも、勇人の背中に手を回し抱き締め返した。
「っ……。
…私…も、
勇ちゃんが…好き…。」
好きを友達の好きと間違える程、二人は子供ではなかったが、想いを素直に伝える事が難しい歳だった。
そんな困難を乗り越えて、想いが通じ合った二人は、木漏れ日の漏れる秘密の場所で、しばらく抱き締め合った。