皐月の目から一筋、二筋と涙がこぼれる。
その目を拭ってやりたかったが、勇人にはその資格さえない。
「私…、山中君「勇ちゃんでいい。」
泣いていた顔を上げて、勇人を見る。
勇人は皐月の目を見て頷く。
「私…、ゆぅ、ちゃんに迷惑だって言われて、
頭真っ白になって、
勇ちゃんに依存してたかなって、それが勇ちゃんにはしんどかったのかなって思って…、
勇ちゃんを解放したげなきゃって、
でも勇ちゃんと離れたくない、とも思ってて…。
どうしようって思ってたら、お母さんに女子高に行きなさいって言われたて、ほんとは行きたくなかった。
けど、勇ちゃんがどうでもいいって思ってるんだったら、私なんか要らないって思ってるんだったら、
もう離れるべきだと思って、女子高に行く事にしたの…。」
勇人は黙って聞いていたが、聞きたい事があった。
「まだ、願書だしてないのか?」
「ぅ、うん。まだ迷ってたから…。でももう出さないといけなかったし、お母さんにもしつこく言われてて…。」
「受けるな。」
勇人は手を伸ばして、皐月をギュッと抱き締めた。
