「……女子高行くんだって?」



ボソッと勇人が零す。



小さな声だったが、静かなこの場所では、しっかり皐月の耳に届いていた。



ハッと顔を上げる皐月。



「丈から聞いた。


もう俺の事嫌いになったか?

ぃや…、嫌われてて当然だけど…。」




「違う!!

ゅっ、山中君が私の事嫌いになったんでしょう?


迷惑だって、もう…どうでもい…いっ…て、いってた、じゃ、ない…。」


皐月はあの時の事を思い出したらまた泣けてきた。



勇人は今まで皐月にしてきた酷い仕打ちを再認識し、苦々しく思った。


丈に励まされた言葉を思い出す。



嫌われても…、

この想いを…


「俺、皐月が好きだ。」


言う。


その言葉に皐月は目をはる。


「ぅそ…。」

「嘘じゃない。

ずっと、きっと初めて会った時から好きだった。」


「嘘!!

だって、ただの幼なじみだって言ったじゃないっ!」


勇人の言葉が信じられなくて、皐月は言い返す。


今までの行動は何だったのかと…。



「それは…、

からかわれたのが恥ずかしくて、言い訳が思いつかなくて勢いで、言っただけだ。

本当はただの幼なじみなんて思った事はないし、迷惑だと思った事もない。


全部、この前も上手く交わせない俺からでた出任せだ。


ずっと避けてたのは、こんな俺なんて、皐月に嫌わててもしかたないと、そして嫌いと言われたくなかったから……。」

本当にごめんと言って、頭を下げた。