それを聞いた皐月は悲しみにくれ、遠回りをして帰ろうとするが、


タイミング悪く、後ろの方から、

「皐月ー!!」

と、女友達に叫ばれてしまった。



固まる勇人と他のメンバー。



勇人達が後ろを振り向くと、泣きそうな顔をした皐月が勇人達を見ていた。



その瞬間、勇人は自分の失態を悔やみ、成長の無さを恥じた。


「違うんだ。」と言って走りよろうとした瞬間、


皐月の隣まで来た彼女の友達に、皐月は泣きついてしまった。



皐月が泣くのを見たのは、皐月が迷子になった時以来だった。


今まで皐月は泣きかけても、グッとそれをこらえていた。


しかし、度重なる勇人の仕打ちに耐えきれず、


涙が溢れ、近くに来た友達に気が緩み、涙を止められなかった。



事情をなんとなく察した友達に肩を抱かれ、違う道へと去っていく皐月を、ただ見つめる勇人は、


あの時と同じだ…。


と、呆然する。


あちゃー…と言って、
勇人の仲間達が我に帰り、

勇人に帰ろうと言おうと顔を覗くと、勇人は頬に涙を伝わせ、下唇を噛み、俯いていた。



喜怒哀楽がさほど表情に出ない勇人が泣いている事に、仲間達も事態の深刻さを痛感する。



気をつかった丈が他の仲間達を帰らせ、勇人が落ち着くまで待ち、



丈は、勇人の懺悔を聞きながら、友人二人に何も出来ない自分の無力さを噛みしめ、

二人の幸せを願う事しか出来ない自分に目をつぶった。