なんで、なんで、
なんでっ!
あんな事を言って
しまったのだろう…。
自分の不器用をこれほど呪った事はなかった。
皐月の出て行った後すぐ、先生は教室に入ってきた。
異様な空気が広がる教室に、
「なんか…あったのか…?」
と、聞いてみても誰も答えない。
他のクラスであるはずの勇人と丈が立ち止まっているので、尋ねようかと思ったが、
勇人は愕然(がくぜん)とした顔をしているし、丈はそんな勇人を心配した目で勇人を見ている。
とても尋ねられる雰囲気ではなかった。
もう一人立っていた竹ノ内は何か慌てているようだったので、
「竹ノ「ごめん!!」」
先生の言葉は竹ノ内の謝罪に遮られた。
「ごめん…、勇人。
俺、ちょっとからかおうと思っただけで…。
こんな事になるなんて…。」
勇人は表情を変えない。皐月の事でいっぱいだった。
半泣きになって謝る竹ノ内にポンっと肩を叩いたのは丈だった。
「お前だけのせいじゃないさ。
勇人、出よう。
授業の邪魔になる。」
そっと勇人の肩を押して、教室の外へ促した。
丈は竹ノ内に、気にするな、お前のせいじゃない、といった慰めは言う事が出来なかった。
ずっと前から、勇人と皐月の仲の良さを見てきた丈は、竹ノ内を責める事はなかったが、慰める事もしたくなかった。
