「勇ちゃん、あ「えー!!
勇人、二宮さんに勇ちゃんって言われてんのかよ!」
丈と話してたはずの竹ノ内はこちらの話を聞いていたようだ。
「ギャハハ、6年にもなって、勇ちゃんはねぇだろー!
てか、二人ってどういうカンケー!?
もしかしてー?!」
突然入ってきた竹ノ内に、「ぁ…」「ぇと、」とキョドってしまった皐月は、竹ノ内のマシンガントークに口を挟めなかった。
勇人も、あの丈でさえ、また然(しか)りだった。
しかも、興奮した竹ノ内の声はとても大きかった。
クラス中に聞こえたせいで、みんながこちらに注目していた。
シーンとなる教卓。
誰かが、「あの二人って付き合ってるの~?」とマセた発言をした。
するとクラス中から、「やるね~。」「皐月、愛してるーってか~!」と勇人達を囃(はや)したて始めた。
いたたまれなくなった皐月は真っ赤な顔で俯き、勇人も真っ赤な顔で顔を歪めた。
勇人は皐月が好きだった。けれど、皐月にそれを言うことはなかった。
二人でいられたら、それで良かったし、好きという事もちゃんと意識した事はなかった。
ちゃんと意識していれば、あの時、皐月を傷つける事はなかったのかもしれない。
勇人はずっと後(のち)に後悔した。
