俺の所属する事務所『Traum(トラウム)』は、

萩原が十年前につくり、男子のモデル・俳優を主としている。



まだ歴史は浅いが、最近は有名雑誌の表紙にも載ったり、映画の主演俳優としで出演する者も出てきており、


萩原さん曰わく少数精鋭で頑張っている。



『Traum』はドイツ語で「夢」と言う意味らしく、夢のような時間を提供したいという萩原さんの思いから名付けられたらしいが、


ドイツ語なのは、「発音がカッコ良かったから。」と、なんとも適当な理由だった。



マネージャーがいない俺に仕事を伝えてくれるのは、社長の萩原さんだ。


何かとバックアップしてくれる。
ここでは、新人の間はみんなそうらしい。



ある程度波に乗ったと萩原さんに判断されれば、これもまた萩原さんに訓練された?マネージャーがつく。



はぁ…。
早く俺にもマネージャーつかねぇかなぁ。



そんな事を思っていたら、いつの間にか哲哉との電話は終わっていたらしい。



「ゃべ。最後らへん何喋ったか覚えてねぇ…。ま、いつもみてぇにしょうもない事だろうし、いっか!」



萩原さんも適当だが、案外?俺も適当だった。