勇人達は小学6年生にまで成長した。



相変わらず、丈と勇人は同じクラスだが、皐月とは離れてしまった。



正直、勇人は皐月と離れてしまった事が寂しかったが、
もう12才。



素直にそう皐月に言えるはずもなく、皐月との距離をじれったく思っていた。



「丈、早くしろよ!」


次の授業は音楽で、移動だった。



「ちょっと待って!
リコーダーと、
教科書、教科書~。」


丈は机をガサガサ漁る。


「あれ~?
教科書忘れたかな~。ないなぁ。」



「はぁ~?

じゃあ早く隣に借りに行こうぜ。

遅れちまうし。」



そうだな、と言って、丈と勇人は隣のクラスに向かった。



他のクラスに入った時に感じる、あの違和感というか疎外感は何なのだろうか。



本能的に教室中に仲間意識が働くのだろうか。



独特なピリッとした雰囲気の中、丈は気にもせずズカズカと入りこみ、勇人は居心地悪そうに入った。



隣は皐月のいるクラスだ。



隣の教室に入った勇人は無意識に教室を見回し皐月を探した。


「あ…。」



中央付近の前から2列目に皐月は座っていた。