「勇人」の気持ちかぁ…。
幼なじみなんてみんな高校になったらバラバラになって今じゃほとんど会うこともない。
俺がモデルをやってるから、それ目的に、幼なじみ達を介して近づいてくる奴はいるがその辺は上手く無視している。
だから「丈」と「勇人」の関係なら、
哲哉(※one scene参照。俺の幼なじみ)と俺との関係に、似た感じだから分かるかもしれないが、
「勇人」と「皐月」の間の感情をちゃんと捉(とら)えるのは俺には難しかった。
「この文の作者に、なんか聞けたり出来るとか、逆に作者からの注文とかねぇの?」
こういうのは、勝手に演じる側が拡大解釈しても、縮小して捉えてもいけない。
そういう事を理解してたから聞いてみた。
「いや、作者からはお前が思う通りにしてほしいと、ただそれだけだそうだ。」
困った…。
逆に難しくなった。
いろんなとこから、俺の実力を試されてる感が否(いな)めない。
よしっと言って立ち上がった俺は、
やるだけやったるぜっと意気込んだ。
それからすぐに、家に帰った俺は早速読んだとこまでの勇人の心情を整理しようと思った。
活字の方は、もうしんどいからヤダ。
「とりあえず~、
『高校生の勇人』を俺は演じればいいんだから、
高校前までの勇人は思い出みたいに思って読めばいいのかな。
それにしても、勇人はピュアだなぁ~!
今どきこんな奴いんのか?」
まずはそこからだった…。