入学式が終わって、ゾロゾロとクラス毎に教室に入り、先生やクラスメートに自己紹介をした。



皐月に会えた嬉しさもあり、勇人は元気良く挨拶した。

クラス全員紹介が終わり、先生がプリントと配っていると、


「俺、六弓 丈(むつゆみ じょー)。よろしく!」



隣から声がして、皐月の事を考えていた勇人はばっと左を向くと、


ニコニコした笑顔でクルクル髪の男の子がこっちを見ていた。



「僕は山中 勇人。じょうくん仲良くしてね。」



ニコっと笑い、気が合うと感覚的に感じた丈と勇人は先生に叱られるまで話しまくった。



大きくなってから、勇人はこの時、丈が隣じゃなければ…と悔やんでたり、なかったり…。


まぁ、その話はともかく、



先生の話が終わり、二組の教室を飛び出した勇人は、皐月のいる三組に向かおうとした。



しかし廊下に待機していた保護者達に阻まれ、なかなか進めない。



やっと三組に近づいた勇人は大人達の隙間から皐月が見えた。



「さっちゃん!」



嬉しさの余り叫んでしまった。


そしてすぐ後に自分の失態に気付いた。



大人達で見えなかったが、皐月の隣には皐月の母親がいたのだ。



どうしようと焦った時にはすでに時は遅く、皐月の母親は勇人に気付いた。