小さな子供の想いでも尊重しようと両親は何も言わず聞かずここまで来た。



いやここまで息子の頑張りを見ていると誉めてやりたいぐらいだが、


口は出さなかった。



西宮家については勇人だけでなく、近所でもよく噂になる。



そういう噂話を勇人の両親は好かなかったが、


噂が噂だけに息子に何かあった時だけ助けようと話あって決めた。



勇人はそんな事は知りもしない。



ただ皐月がこの学校にいると聞いて安心した。

努力は報われた。


もし皐月がいなかったら、なんの為に入ったか分からなくなる。



隣のクラスと聞いて、左をみた。



勇人は二組で、全体で5クラスあった。

入学式に来た保護者と生徒のために、前方にステージがある講堂に並べられたパイプ椅子に、保護者が隣になり、クラスごとに並んでいた。



なので左は皐月がいる三組だ。



そして見回しているうちに皐月を見つけられた。



赤チェックのスカートでセーラーのような制服に、頭に2つリボンをつけていた。



その隣には皐月の母親がいた。皐月は周りより母親を気にして背筋をピンと伸ばしていた。



その風景に心苦しく思った勇人だが、これからは塀越しではなく側で助けられると思い直し、今は我慢した。