「お、外で二組体育じゃん!準備してるぜ。

あ、皐月ちゃん発見!」



返事もしてないのに、実況中継してくる丈。



鬱陶しそうな顔しながらも窓際に座る勇人は窓の方を向いてしまう。



勇人達の教室は二階なので、運動場が近い。皐月の顔もよく見える。



ハードル走らしく、細い腕にハードルを担ぎ、チョコチョコと頑張って運んでいた。



「かわいいよな~、皐月ちゃん!

一年の中じゃ、1、2を争うんじゃねぇ?いや三学年全体でもイイ線いってるけどね。」



ニヤニヤしながら語る丈をギロッと睨みつけた。



「おぉコワ。

皐月ちゃんの彼氏は親友の冗談も分からないような、

超!ヤキモチやきな奴ですね~。」



からかわれているのは分かるが、正論なだけに唸(うな)ることしかできなかった。



でもゃっぱり腹は立つので、丈の頬を抓(つね)った。



痛い痛いっている丈を気にせず、運動場に、皐月に視線を戻した。