少年はぐったりと机にもたれかかり、

ウッセーと力なく言った。



「皐月ちゃんの事考えすぎて寝れなかったか?」



耳元で囁いてきた。


その瞬間少年は「はぁ!?」と叫び、椅子をガタンっと大きな音を立てさせながら勢いよく立ち上がった。



顔は真っ赤である。そんな勇人の顔をみてニシシと笑い、

「お、図星?」とまで言ってきた。



「違うわ、ボケ!」


と叫んだところでハッとした。


周りが勇人に注目していたのだ。

更に顔を赤らめて、静かに席についた。



顔を机に伏せて、
「丈(じょう)のせいだ。」と言うのを忘れずに。



その呟きを聞き取り、丈といわれた男子は、ニンマリ笑った。



彼は勇人の右隣の席でもあり、中学高校と、勇人の部活仲間でもあり、小学校からの親友でもあった。



勇人をおちょくる事を日々の楽しみとしているので、勇人にとっては「嫌な奴」でもあったが。