その微笑みを見て、皐月は今までの緊張やら恐怖やらが溶けてまたうわ~んと泣き出してしまった。
それを見て男の子は自分が何かいけないことを言ってしまったのかと、パニックになったが、
皐月が男の子の手をギュッと握ってきたので、安心して手を優しく引っ張って進みだした。
「僕はやまなか ゆうと。
僕のお家も君の近くにあるんだよ。
きみのお名前は?」
子供なりの優しさで、泣いている皐月を振り返ることはせず、前を向きながら聞いた。
「にしみや さつき…。」と皐月がポソッと言うと、
「さっちゃんかー!名前も可愛いね!」と、
皐月の返事があった事から大丈夫だろうと判断し、
今度は振り返ってさつきに笑いかけた。
さっきまでパニックに陥り、ちゃんとゆうとの顔を見ていなかったが、
今ちゃんと認識し、今度は皐月が顔を真っ赤にしてしまった。
しかし、笑いかけてくれているゆうとを見てほんわかした気分になり、
「ゆうちゃん、ありがとう」と笑い返した。
二人は真っ赤な顔のまま、手を繋いで、いろんな話をしながら皐月の家まで歩いた。
