真摯(しんし)な俺らの反応を見て満足したのか、


そうかそうかとニンマリした白田さんは、

「では」と仕切り直し、


「設定だが、君達は物語を最初の部分だけ読んでいるだろう?」



そう、俺は萩原さんにこの仕事を教えてももらった後に数枚に紙を渡されていた。





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萩原さんに差し出された紙を見て、


「なんです、コレ?」


と、聞きながらも受け取り、目を通した。



“あの頃のような”



そういう書き出しで始まっていた。おそらく何かのタイトルかテーマのようだ。



『あの頃の俺たちはまだ何も知らなくて良かったのに…。



ただ俺たちが存在(い)るだけで世界は成り立っていた。



なんでなんだろう、アイツと簡単に話せなくなったのは…。


いつまでだっただろう、周りを気にせずアイツに触れられていたのは…。


いつからだっただろう、俺とアイツに出来た溝が埋まらなくなってしまったのは…。』



冒頭の部分で、恋愛小説に興味がない俺は、

ベタな恋愛モノか、と呆れ半分で読んでいたが、


読み進めていくうち、物語にのめり込んでいる俺がいた。