白田さんが話している間、俺はコロコロ変わる白田さんの話を必死に理解していくので精一杯で、
はい、はいと頷いていただけだった。
早英さんは黙って白田さんの話をじっと聞いていた。
「設定云々(うんぬん)の前に少し話しておく。
知っていると思うが、
俺の知り合いが、自分の作った話をホームページに載せてるらしくてな、
それのイメージキャラとして使いたいらしい。
イメージ的に君達がぴったりだという事で今回は選ばしてもらった。
アイツも俺も本業ではないが、やるからには本格的に本気でやらせてもらう。」
いいな、という鋭い目線で見られて一瞬うっと唸りそうになったが、
それを堪(こら)えて、出来るだけ真剣に、はいっと返事した。
早英さんもはい、と真面目に答えていた。
真剣に答えた傍(かたわ)らで、俺は何故、ほぼ無名といえる「俺」の事を知っていたのか不思議だった。
たまたま目に入ったとしても、無名の「俺」とかなり有名な「早英」という組み合わせはかなり不自然だった。
けれど、この仕事に集中するために何も聞かず、チャンスだと思うことにした。
