急に横からのびのびとした声がかかり、

びっくりした俺はバッと手をはなし、顔を90度勢いよく捻(ひね)った。



すると首からカメラを提げたおじさんがこっちを向いていた。



「遅れてすまんかったな。
俺は白田 洋介。こんなナリだが、カメラマン。」



短い紹介だった。


早英さんが前にでて、
「早英です。
よろしくお願いします。」



自然な動作で、すっと体を曲げ、綺麗にお辞儀をした。



その動作に見とれていた俺は、少しして我にかえり、遅れて白田さんに挨拶した。



「梨野國です!
よろしくお願いします!」


緊張していたから、予想外に大きな声が出た。



白田さんはそんな俺にハハッと人好きそうな声を上げて、


「元気があっていいな。よろしく頼む。」と言ってくれた。



「それじゃあ軽く打ち合わせするか。」



スタッフさんが用意してくれていたパイプ椅子に座った。



白田さんに向かい合うに早英さんと俺が隣同士になって座った。



「まぁ聞いているだろうが、あくまでパソコンの画材だから大きくは載らない。

しかし、小さくても見る人が目に留めるようなインパクトがあるのが撮りたい。

なにせ俺はあんまりこういうのに慣れてないからな、

納得するのが撮れるまで付き合わせるかもしれんが、

そこは了承しといてくれ。

で、設定なんだが…。」


矢継ぎ早に話していた白田さんは持っていた数枚の紙をパラパラ捲る。