そうやって全部学ランを着終わった俺を鏡の前の椅子に座らせ、谷さんは髪と顔にメイクを施していく。



男の俺にたいそうな施しは必要ないが、メイクをするだけで印象はかなり変わる。

それに写真写りも全然違うし。


髪はあんまりいじられなかった。



「はいっ、終わり!
さ、そろそろ時間だし。行こうか。」



部屋から出てスタジオへと歩いていく。

そしてスタジオに入った瞬間少しざわっとなった。



「おぉ~、
ブレザーと学ランだと印象変わるねぇ~。

ちょっと幼い感じかな?」



さっき一緒に準備していたスタッフさんがこちらを見てそう呟いた。



すると隣のスタッフさんも、

「そうだなぁ~、
でも俺らが着たら、宴会のコスプレにしか見えないけどな!」



どこかで聞いたようなセリフを言い、アッハッハとスタッフさん達は笑っていた。



他のスタッフさんも、足なげぇな~とか、学ランいいっとか少しマニアックな事も言っていた。



学ランについて一部のスタッフさん達が論議しているうちに、またざわめきがし始めた。



今更気づいたが、メインのスタッフは4、5人だったけれど、手伝いとして何人か駆り出されているようだ。



彼らはスタジオの出入り口の近くにいるので誰が来たのかすぐに気付く。



でも俺とメインスタッフさんはスタジオの出入り口から遠いところにいたので、誰が来たのかはすぐには分からない。