「あのさ若菜…」
朝田さんが
何か言いかけたとき
「桃!!」
振り向くと
ワタルが走ってこっちに来た。
「お前何やってるんだよ。ほら行くぞ。」
ぐぃっと引っ張られる腕。
「桃…?」
小声で呟く朝田さん。
あ…
朝田さん知らないんだ。
名前を。
「朝田大声出してすまん、こいつは俺の彼女の桃だ。」
「ぁ…ああ、そっか」
紹介するな。
彼女なんていやだ。
腕を離したわたし。
その行動にびっくりしたワタル。
「桃?行こうか」
強く引っ張られる腕。
失恋のショックと
泣きつかれたせいで
そのままとぼとぼついていった。


