♪♪♪
着信音が鳴る。
【着信:ワタル】
彼氏からだ。
通話ボタンを押す。
「誰見てんの?」
振り向いても誰もいない。
「真ん前の会社の5階見てよ」
ぁあ…忘れてた。
ワタルもここで働いてるんだ。
気持ち悪い。
見てたのかよ。
「別に」
そっけなく返した。
いつもわたしはこんな感じ。
「桃、最近ずっと屋上に入り浸りだよな?」
桃‥。
名前忘れてた。
朝田さんに呼ばれてる
“若菜”が気に入ってた。
このさい若菜が
名前のが良かったな。
なんてバカなこと思っていた。
「聞いてる?」
また自分の世界に入ってたみたい。
「ごめん。なんて?」
「だからっ、明日会社のパーティーがあるんだ。来ないか?」
パーティー…
もしかしたら
朝田さんに
会えるかも知れない?
でも、
ワタルの彼女で行くとか…
「あっ!さすがに16歳じゃヤバイから19歳ってことにしていい?」
ラッキー。
これならばれないかも。
「うん、行く。場所言って」
このとき、
パーティーに
行ってしまったことに
後から後悔するとは
思いもしなかった…


