「彼女いないのぉ!?」
車内に響き渡るわたしの声。
「うるせーな(笑)いねーよ。いたら泊まらせねぇし、ドライブなんかしねぇだろ。」
まぁ…考えてみたら
そらそーか。
「だから若菜はいいのか?って聞いたんだよ。」
あー…
そうだそうだ。
わたし彼氏いるんだな。
「彼氏とかよくわかんないけどね、恋愛も愛情も。」
朝田さんは
?みたいな顔をして
「…彼氏好きじゃねぇの?」
「ないね。」
即答した。
だって事実だから。
「恋と愛の違いもわかんないし、めんどくさい。」
そう言うと
朝田さんは笑いだした。
「16歳の発言とは思えねーよ!まだお子ちゃまだからだな若菜は♪」
「はぁっ?!」
「恋は一人でもできるんだよ。愛は二人で育むものだってことだ。」
「……………。
じゃあ恋ってどうやってすんの?」
わたしの質問に
朝田さんも
うーん…と言いながら
「恋はするものじゃねぇな。自然現象だからな。」
???
「プッ…なにそれっ!」
お腹をかかえて笑った。
顔に似合わないことを
また言うからだ。
こんな笑ったのは
初めてなくらい笑った。
「聞いといてそれはないだろ!」
突っ込まれても笑っていた。
不思議にも
この時間が止まれば
いいのに…
と願ったのは事実。
でも
まだこのとき
この甘い衝動が
恋なんだとは
わたしは気付かなかったんだ。


