「急いで決めやなあかんのはジャズフェスをどうするかやねん。」
私が呟くように言ったのに対し、「ジャズフェスって、まだ先じゃないんですか?」と聞いてきたのはテナーサックス初心者で1年の正木メグ。肩まである明るい栗色のストレートの髪を少し鬱陶しそうにかきあげている。
細い髪が指に絡みつき、ついこの間まで中学生だったということが信じられないくらい、色気を醸し出している。
「そうなんやけど、申し込み締め切りが3日後やねん。曲目も提出せなあかんし。」カンディが答えると「ええっ!3日後ォ~?」とメグやほかの1年生がざわめく。
「別に出やんでもええやん。コンサートだけにすればぁ。」谷川シノブが、私の方を見て投げやりに言う。
