…決まったね。


…彼だね。


私もカンディも西先輩の方を見ながら頷く。


「ドラムやってみいひん?実はピアノ、もう決まってもてん。たった今。」


少し残念そうに、ピアノ担当になった1年生の女の子の方を見ながら、ゆっくり丁寧に西先輩が言う。


「彼女はピアノが弾けるらしいし、私たちもピアノを一から教えるっていうのは難しいから…ドラムは誰も決まってないし、男の子やから体力もあるんちゃう?どうかな?」


同じようにゆっくり丁寧に私が言うと、カンディも「ピアノ、三人も居るねん。」と続けて言う。


瑛治はやっぱり顔の表情が髪に隠れてよく判らないけれど「いいっすよ。」と躊躇することなくきっぱりとした答えが返ってきた。