「いや、特に知らなくても…」


「じゃあ、今日俺んちに泊まる?」


いやいやいや…


「何をどうして枢の家に泊まることになるのかサッパリ意味がわかりません!!」


「そんなの簡単だろ?ひよりとずっと一緒にいたいから。」


…………。


一気に顔が熱くなった。


「ぷっ。顔が真っ赤。さ、帰るぞ。しっかり掴まってろよ。」


………。


からかわれたダケ?


くっ!!!!


もっさりモジャ男のくせに!!!!


家の前に着くと、ヘルメットをモジャ男に返してお礼を言った。


「送っていただいてありがとうございました。」


「あぁ。ひより…」


「はい…」


モジャ男は、私の頭をグイッと寄せると軽くキスをした。


「じゃあ、また明日な。」


そう言ってモジャ男はバイクを走らせた。


モジャ男の姿が見えなくなるまで、私はぽーっと見つめていた。


不覚にも、モジャ男がカッコいいと思ってしまった瞬間だった。


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