狼さんの好きな人

それが親心ってヤツなんだろう。


知らないなら、知らない方がいい…


わざわざ辛い思いをさせたくない…


そうやって、パパとママの愛情に包まれてぬくぬくと育ってきた。


だけど、知ってしまったからにはお姉ちゃんがいるところに行かなきゃ…


手紙を箱の中に入れると、パパとお兄ちゃんが止めるのを聞かずに玄関を飛び出した。


傘もささずに、どしゃ降りの中無我夢中で走って…


走って…


走って…


着いた先は、モジャ男の家…。


モジャ男の家までの道のりなんてうろ覚えだったのに、気がついたら大きな門の前に着いていた。


ピンポーン…


カメラ付きのインターホンのボタンを押すと…


『はい。どちら様でしょうか?』


若い女の子の声が聞こえてきた。


きっと、若い家政婦サンだ。


「私、月島ひよりって言います。枢さんは、いらっしゃいますか?」


『……ぼっちゃまは、いらっしゃいません。お引き取り下さい。』


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