狼さんの好きな人

「直也さんって、そうやって枢で遊んでたんだ…」


「うん、そう。楽しいんだよ?」


「でも、枢が眼鏡を外して見てたのは、思春期真っ只中で恥ずかしかったからだって言ってましたよ?」


枢、お嬢に話したんだ…


恥ずかしがりやさんだから、そんなこと言わないと思ったのに。


「そうだよ。ホント可愛いよね、枢って。今どき、そんな男なんていないと思うよ?枢を見てたら、自分がどれだけ汚れた人間か思い知らされるよ。」


「あぁ。直也さん、お腹の中が真っ黒ですからね…。」


「つまり、腹黒って言いたいの?」


「そんなことありま…すけどね。」


あるんだ…。


そんな満面の笑顔で言わなくてもいいのに。


「ま、否定はしないけどね。」


「おーい。朝飯できたぞ?」


あ。枢…


残念。


もう少し、お嬢と話したかったんだけどな…


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