狼さんの好きな人

「…それで、私だけ仲間外れというか疎外感があるというか…」


「血の繋がりが全てじゃねぇだろ。どう見ても、お前は両親から我が子のように育てられてきたと思うぞ?まず先に、郁斗と話てみろよ。」


「でも…」


「“でも”じゃねぇ。血が繋がっていないのは、変えられようもない事実なんだろ?だったら、腹割って話さなきゃ前に進まないだろ。それとも、お前はこのままウジウジと考え込んで皆を心配させ続けるのか?」


「ゔ…」


「血が繋がっていようと無かろうと郁斗は変わらねぇよ。」


「そう…言い切れますか…?」


「あぁ。お前が一番郁斗のことわかってんじゃねぇの?ずっと一緒にいたから。それに、俺の妹も血が繋がっていなかったんだ。」


え……


「そうなんですか?」


「あぁ。妹…ひよこって言うんだけど…」


ひよこ…?


小さい頃…


なんだっけ?


ママと一緒に……病院だ!!


病院に行って、注射をされて…


泣いていると、ママが『ひよこちゃんに会いに行こうか。』って言ったんだ。


私は、嬉しくて嬉しくてたまらなくてすぐに泣き止んだ。


どうして、嬉しかったのかな?


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